予算差異分析と経営分析


 月次決算を行い、月次のデータが確定すれば、予算と実績とを比較しその差異原因を調査します(予算実績差異分析)。
 また、経営指標を使っての分析(
経営分析または財務分析)を行います。
 
・予算実績差異分析・・・事業年度が始まる前に作成した予算と、実際の毎月の結果(実績)を比較すること
・経営分析(財務分析)・・・毎月の経理データの結果から、経営指標(財務諸表上の数値を一定の算式にあてはめて
  計算した比率)を計算し比較すべき数値と比べどのような状態にあるかを確認すること
  
毎月の経理データがきちんと入力され、月次決算が実施されている企業においては、有効な経営改善の手段となります。
 
予算実績差異分析
毎月、月ベースでの予算額と実績額との比較表とその月までの累積値による比較表を作成しましょう。 
会計ソフトで経理処理を行っている場合には、予算額を入力すれば毎月の実績額と自動的に比較し分析表を作成してくれます。 
単に予算を超えているか否かを見るだけでなく、差額分析を行うことが重要です。

 予算額実際額 比較 差異分析(原因を調査)
(例) 交際費 予算額100−実績額120=−20(無駄遣い)
 予算額100−実績額70=30(節約)

特に不利な差異(マイナス要因)で、金額が大きい場合には、自社の努力で改善できるものについては、早期に対策を
立てるべきです。
また、予算の作成は経理担当者と経営者が中心となって行うことになりますが、できれば営業部や製造部などの責任
者の意見も交え、より現実的な予算額を設定するようにしましょう。
 予算額が厳しすぎたり、また甘すぎた場合には、目標値としての意味が損なわれることもあります。
年間予算を作成する際には、過去の実績データや予測される企業環境の変化などを加味して、また月単位での
予算まで作成しておくようにします。
   

経営分析
 会計データから作成される財務諸表上の各金額を経営判断の材料として役立てるために、いくつかの数字を
組み合わせ一定の算式で経営指標(比率)を求めます。
 さまざまな比率を計算式に当てはめて手計算をする場合には手数はかかりますが、十分可能です。
 大切なのは、経営指標(比率)をどのように役立てていくかということです。
 よく、比率は計算できるが、その見方や具体的な活用のしかたがよくわからないという方がおられます。
財務諸表の見方や会計用語の意味が理解できないこと、そして、その比率がどの程度なのかを判断する基準が分か
らないことが問題なのではないでしょうか。
 
まず、会計用語や財務諸表を理解するには、多少勉強する必要はありますが、仕訳や財務諸表の作成ができなく
ても、読み取ることさえできればいいのです。
 次に何を基準にすればよいかという問題については、比較の対象となる数値を用意する必要があります。
基準数値には2つ方法があげられます。

自社の過去の業績との比較、たとえば 前期の数値と当期の数値とを比較する方法
   (2期または3期で行うのが有効)
●同業他社(業種・従業員数・全体の売上高の類似する企業で目標となるような健全企業)の数値と
  比較する方法

   「中小企業の財務指標」(中小企業庁編)を利用します。
   業種を大分類・中分類・小分類ごとに区分けし、比率分析表と実数(金額)分析が掲載されていますので
   自社の業種等と類似するランクの企業の数値と比較し、検討します。

 一部の指標は中小企業庁のホームページからも入手できます。

 経営指標にはさまざまな種類があります。それぞれの会社によってどの経営指標を活用するか異なりますが、
コンピュータを利用すれば、各種分析帳票やグラフ作成も会計データから連動して自動的に行えますので、必要に応じて
適当なものを選び出すだけで、経営改善のための資料を簡単に手に入れることができます。
 なお、詳しい内容については別メニューで取り上げます。



経営会議を実施しましょう 

月次決算による月次試算表データの確定
    ↓    
B/S(貸借対照表)・P/L(損益計算書)・C/F(キャッシュフロー計算書)の作成
    ↓    
予算実績比較表の作成・差異分析
    ↓ 
経営分析
    ↓    
分析報告書の作成(各分析資料をもとに原因分析をした結果や改善案を整理)
    ↓   
経営戦略会議を実施する
経営管理者・経理担当者・各部門の責任者が出席し、月次決算の報告及び今後の方針について話し合う